バンクーバー留学日記。

カナダに留学してから早6年。ウエストバンクーバーの高校を卒業後、今も変わらずバンクーバー内で大学生をやっています。

レッジョエミリア教育

 

こんにちは、のぐともです。

かなり前になってしまうのですが、ツイッターの質問箱の方でイタリアの幼児教育方針、レッジョエミリアについての質問が来たので今回はそちらについて少しお話ししたいと思います。

 

[:contents]

 

Reggio Emilia Approach (教育方針)とは

イタリアのレッジョエミリアという都市から始まった教育方針なので、そのまま「レッジョエミリアアプローチ」という風に呼ばれています。このイタリアのレッジョエミリア市は予算の10%を幼児教育に費やすなど、幼児期の教育に市全体が力を入れています。今かなり世界的に注目されている教育方針の一つなのですが、その理由がニューズウィークという雑誌の記事で「世界で最も優れた10の学校」に選ばれたからなのです。

 

*ちなみにカナダのブリテッィシュコロンビア州の幼児教育構成本 (Early Learning Framework) は今ではこのレッジョエミリアにほとんど基づいて作られています。

 

では気になるのがその教育方針の内容ですよね。今回はそこを深く掘り下げていこうと思います。

 

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画像引用元: http://www.imaginationstationps.com/a-reggio-emilia-approach/

 

Reggio Emilia Approach : Core concepts

The Child: 子供
  • 「子供は知識や教養がない空っぽの存在であり、教育者や大人はそれらを"教える"必要がある」という固定概念を捨て「全ての子供は有能であり、創造的や独創性に富み、ひとりひとりが価値のある存在なのだ」と、子供の可能性や学習能力をまずは信じることを大事にします。そして子供と接する上で「大人もしくは社会の一員になるプロセスとしてではなく、すでに私たちとなんら変わりない一人の人間として、一社会のメンバーとして子供を見る」ことを第一前提として掲げています。私たちの持つ子供のイメージは、子供の可能性を良くも悪くも変えることができるのです。つまり、彼らの能力や可能性を生かすも殺すも"私たち大人次第"なのです。
  • 「子供は有能である」という考えのもと、レッジョエミリアが特に重視しているのが 100 languages of children (子供の100の言語 ) です。レッジョエミリアの設立者: Malaguzzi が下記のポエムが記しているように「子供達は100の言語」を持っています。私たち大人にとってみれば、"話す”ことがコミニケーションや自分の考えを示す手段ですが、子供達にとっては 絵を書いたり、写真を撮ったり、ジェスチャーやアイコンタクトを使ったり、物を使ったり... 様々な手段が「彼らの言葉」になるのです。子供達はたとえ話せなくとも生まれた頃から何らかの形で声を発しています。そしてその声は speaking ではなく、100の言語として表されるのです。
The Hundred Languages
No way. The hundred is there.
The child
is made of one hundred.
The child has
a hundred languages
a hundred hands
a hundred thoughts
a hundred ways of thinking
of playing, of speaking.
A hundred always a hundred
ways of listening
of marveling, of loving
a hundred joys
for singing and understanding
a hundred worlds
to discover
a hundred worlds
to invent
a hundred worlds
to dream.
The child has
a hundred languages
(and a hundred hundred hundred more)
but they steal ninety-nine.
The school and the culture
separate the head from the body.
They tell the child:
to think without hands
to do without head
to listen and not to speak
to understand without joy
to love and to marvel
only at Easter and at Christmas.
They tell the child:
to discover the world already there
and of the hundred
they steal ninety-nine.
They tell the child:
that work and play
reality and fantasy
science and imagination
sky and earth
reason and dream
are things
that do not belong together.
And thus they tell the child
that the hundred is not there.
The child says:
No way. The hundred is there.
—Loris Malaguzzi
(Translated by Lella Gandini)

 

The Environment: 環境
  • 「Environment as the third teacher: 環境とは第三の教師である」という概念が存在するほど、環境は子供達に大きな影響を与える、とレッジョエミリアは考えています。

素晴らしく綺麗にまとめてくださっている方のブログを見つけましたので、そちらから一部引用させていただきました↓

  1. [柔軟性(overall softness)]:居心地の良い空間であること。より開かれた、しなやかで、固定的でない保育環境。一方的に知識や価値を与えるような空間ではなく、様々なものが混在し、多様な価値が共存するような場所。一人になれる空間も保障されながら、一方で、他者との対話や交流が促されるような、穏やかな場所。
  2. [関係性(relation)]:たくさんの多様な考え方が紡ぎ出される場所であること。刺激したり、認めたりし合う関係が作られる場所。関係性とは、一つの理論を共有し合うのではなく、現実を解釈し、批判的意識を持って、互いが表現し合うような空間。
  3. [浸透性(osmosis)]:例えば、温度の異なる二種類の流体が混合し、その差異が自然になくなるように、街や地域に浸透した幼児学校であること。地域に開かれた幼児学校というだけでなく、社会全体の中で、子どもたちが豊かな経験を創造することができるような場としての幼児学校であること。
  4. [多感覚性(multisensoriality)]:視覚、聴覚だけでなく、触覚、味覚、嗅覚など、多様な感覚的経験が保障されるような保育環境であること。子どもたちは、五感を用いて現実を探求する能力を有しており、こうした経験は人格形成において重要である。
  5. [後世説(epigenesis)]:保育者だけではなく、子どもも一緒に作り出すことのできるような保育環境であること。例えば、子どもの活動に基づいて、保育環境が柔軟にデザインされたり、一日の中で、色んな風に使ったり、遊んだり、生活したりすることのできる空間。一方で、子どもたちの活動の足跡を残すことのできる空間。
  6. [コミュニティー(community)]:子ども、保育者、保護者の共同体が促されるような場所であること。保護者もまた、子どもや保育者とともに共通の物語を分かち合う共同作業者である。
  7. [構築性(costructiveness)]:相互関係に基づいて、知の交流が生み出されるような保育環境であること。知は、自分の考えを他者と照らし合わせたり、交流したりすることで、構成され、修正され、強化される。構成主義の場としての空間。
  8. [物語性(narration)]:子どもたちの活動過程を記録し、その活動の教育的意味や価値を物語ることのできるような保育環境であること。子どもたちがいなくても、彼(女)らの存在がよく見える作品、イメージ、事物、色彩によって作られる、全体を物語る空間。
  9. [豊かな日常性(rich normality)]:簡素でも、乱雑でもない、穏やかな保育環境であること。穏やかな成果を生み出す事物、状況、素材が相互に響き合い、調和と均衡のとれた味わいのシンフォニーを生み出す空間。

 

引用元:

ameblo.jp

 

 

The Teacher: 先生/教育者

レッジョエミリアにおいて教師の存在は”子供に教える"ことではありません。学びの主体は子供であり、「教師は観察者であり、子供と共に世界を追求し、アイデアを交換し、お互いに学び合う」そういう存在です。教師は「子供達を注意深く観察し、彼らの関心をどうやったらもっと深められるのか」を考える必要があります。

 

 以上がレッジョエミリアアプローチのメインのコンセプトになります。

 

そしてレッジョエミリアアプローチの一番の特徴としてはさらに下記の3つのことが挙げられます。

 

Reggio Emilia Approach: Key Characteristics

プロジェクト活動
  • レッジョエミリアの一番の特徴といえば、事前に構成されたカリキュラムがないということです。学びの主体は子供達にあるので、子供を観察し「彼らの関心は何か」「何に対して疑問を持っているのか」をピックアップし、それらをベースとして長期間のプロジェクト活動が始まります。このプロジェクトには教師や子供のみならず、親御さんやコミュニティの人々の参加もあります。
  • 最低でも数ヶ月、長ければ1年間にも及ぶこのプロジェクト活動を通して、彼らの考えやスキルをさらに深めていくことになります。たとえプロジェクト開始当初は少しの理解しかなかったとしても、プロジェクトが終わる頃には子供も教師もみんなエキスパートになっていることでしょう。

 

アート活動
  •  子供が100の言語を表現する方法としてアートはかなり重要視されています。子供達が様々なアートに触れ、100の言語を自由に表現できるようにdrawingやpaintingは常にクラスルーム用意されています。さらに常に子供達と時間を共にしている教師たちの他に、レッジョエミリアアトリエスタ (美術専門家)ペタゴジニスタ (教育専門家)の存在も重視しています。「子供達の関心や疑問をどのように深められるのか」をこういった専門家たちとも話し合い、それらを踏まえた上で環境やマテリアルのセットアップをします。

 

ドキュメンテーション
  • 普段の日常での子供たちや子供と教育者の会話などを含め、プロジェクト活動中の子供達の言動を事細かにメモや写真、そして動画として残します。それらを振り返り、今後どのように活動を発展させていけば良いか、などを話し合ったり、時には「子供達がどれほど有能であるか」を視覚的に明確にするツール (pedagogical documentation/pedagogical narration) としてもこのドキュメンテーションは役立ちます。
  • そしてこのドキュメンテーションは教師たちだけでなく、親御さんや子供の目にとまるところに展示され、みんなで一緒に活動を振り返り、その時の言動などによりさらなる議論や活動の展開に役立てます。

 

 

以上がレッジョエミリアの大まかな説明と特徴になります。実際にこちらで2回ほどレッジョエミリアベースの幼稚園を体験しましたが、子供にとってはとても素晴らしい教育だ、と実感しました。日本でももっと取り入れていければいいのにな、と思います。

 

以前ツイッターの方で、レッジョエミリアの教育を子供に受けさせてあげたいけども日本にあるレッジョベースの幼稚園は金額が高すぎるので、どうにか自宅でレッジョエミリアを体験させてあげる方法はないか、との質問をいただきました。こちらに関しては完全に私なりの意見になってしまうのですが、近いうちにまたブログにまとめられたらな、と思います。

 

お子さんがいらっしゃる方も、まだお子さんはいないけども今からお子さんの将来を考えておきたい!という方も是非レッジョエミリア教育を一度検討してみてください。

 

のぐとも